自宅で美味しいコーヒーを淹れるために 〜① 豆選び〜
その理由は、主に次の2つです。
① コーヒーの味は、選んだ豆によって大部分が決定されてしまう
② 抽出には味を左右をする複数の変数があり、1つだけコツを実践しても、他が間違っていると期待通りの効果が得られない
美味しいコーヒーを淹れるためには、まず「美味しいコーヒー」という概念から離れることが重要だと思います。「美味しい」は抽象的な概念であるため、どうすればその味に近づくかを考えるのが難しくなるからです。
特にコーヒーは、苦味と酸味に味覚の要素が偏っている飲料であるため、足らない塩味や甘味を補うどんなお菓子等と合わせるかでも、美味しさの感じ方が変わります。
そこで、まず「XXというお菓子に合うコーヒーを淹れる」というゴールを設定し、それに向けて変数を調整する方法をとると、「美味しい」と感じるものを得やすいと思います。
今回はあんパンとあわせることを想定し、次の考え方で目指すコーヒーの味を決めます。
・秋口の朝食に、洋菓子ほど脂質や糖分が多くないあんパンをあわせるので、紅茶のようなスッキリとした味
・あんパンの、ゴマの香ばしさに合わせるため、香ばしさのある風味
・塩味は弱いので、酸味は弱く(鳥の唐揚げにレモンを搾るのと同じ発想ですが、あんパンの塩味は弱いため、酸味も弱くします)
これで、「ライトなボディ」「香ばしい風味」「軽い酸味」といった、味のゴールが見えてきます。
まずは、豆を選択します。コーヒーの味は、生豆が6割、焙煎が3割を決定すると言われ、自分で焙煎しない場合は、豆を買った時点で味のかなりの要素が決まります。
しかし、いきなり豆の品種や地域ごとの特徴を覚えるのは大変ですし、どう焙煎したかで味はどうとでも変わります。ですので、焙煎に携わった人(お店の人)に、自分がどんな要素が欲しいのかを伝えて、合う豆を教えてもらうことが何よりも重要です。
(自分で焙煎しないのであれば、豆の品種や焙煎の効果については、興味があれば勉強してみるくらいでいいと思います。)
今回は、近所のPassage Coffeeで購入したブレンドを選択しました。透明感のあるコーヒーを目指しているコーヒー店のため、置いてある豆もスッキリとした味に適した焙煎具合です。
酸の総量は浅煎りから中煎り手前で最大化されるので、あまり強い酸を必要としない今回は、中煎りです。なお、選べるのであれば、焙煎後2-3日経過しているものの方が、適度に炭酸ガスが抜けるため、酸味に偏りが出にくくなります。
ブレンドの内訳は、ブラジルとエチオピア8:2。ブラジルは甘み・酸味・コクのバランスが良く、エチオピアは明るい酸味があります。このブレンドはナッツ香があり、ゴマやパンの焼いた香りと合いそうです。
なお、豆は必ず豆のまま購入し、飲む直前に挽きます。豆は挽くと表面積が広がり急速に酸化(劣化)が進むからです。
欲しい味の要素を持っている豆を入手できたら、飲みたいコーヒーにぐっと近付きます。しかし、抽出の段階で失敗をすると、全てが台無しになります。
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