自宅で美味しいコーヒーを淹れるために 〜②豆を挽く〜

前回は、豆の選び方について書きました。

今回は、豆を挽いて、抽出の準備をします。
コーヒー豆からコーヒー液を抽出するには、豆を砕き表面積を増やし、成分が豆から抽出されやすいようにする必要があります。その工程が挽くという作業です。

成分の抽出されやすさは、豆の表面積の大小により変わるため、どの程度の粗さで挽くかが重要です。加えて、もう一つ大切なのは、挽いた豆の粒の大きさを揃えることです。

コーヒー豆を挽く機械には、挽き具合の調整目盛りがついています。しかし、一般的に、安い機械ほど挽き具合にムラがあり、高くなるほど均一に挽くことができます。
(挽き目の調整ダイアル - KalitaナイスカットG)

ムラがあると、粗挽きの味を狙っているのに細挽きの味が混ざったりと、とにかく味のコントロールが絶望的に難しくなります。野菜炒めの時に、野菜を均一の大きさに切らなければ火の通りがまちまちになるのと同じです。
(左側が粒度の揃っていない粉、右側が粒度が均一に近い粉)

挽く機械には、主に①ブレード、②コニカル、③フラットカッターの3種類があります。値段は①→③の準に高い傾向にあり、挽き具合も①→③でより均一になります。

ブレードは、フードミキサーと同じように、容器の中で、サムライが刀を振り回し豆を滅多斬りにするように粉砕するため、豆の粒度はてんでバラバラです。

コニカルは、筒にサザエの尖った部分をぴったり差し込んだような構造になっています。筒と、回転するサザエの間の隙間に豆が入り込み、粉砕されるイメージです。

フラットカッターは、細かい切れ込みの入った2枚の円盤が向き合って回転しており、その間に豆が入り込み、粉砕されます。
(③のフラットカッターを分解した様子)

方式の違いを詳しく知りたい人は、このサイトがわかりやすいです。

ただ、得られる成果のイメージは①→→→→→②→③というのが僕の感覚で、①は絶望的です

よって、最低限②か③を選ぶことがスタートラインです。どちらを選ぶかは予算次第ですが、我が家では③のナイスカットG(Kalita社製)を使っています。
(KalitaのナイスカットG)

今回は2人分を抽出するため、30gの豆を挽きます。挽き具合は、ナイスカットGの3.5番(一般的に言うと中挽き)です。
(赤い三角形の印に、ダイアルの3と4の間を合わせます)

挽き具合の大枠は、「抽出器具が対応可能な挽き具合」で決まってきます。
(Kalitaのウェーブフィルター155(上)とドリッパー(下))

今回は、最も普及している、紙フィルターを使った抽出方式であるペーパードリップで行おうと思います。

ペーパーフィルターの場合、高圧で抽出するエスプレッソ等とは異なり、お湯に圧力をかけずに抽出するため、細かく挽くとお湯がコーヒーの粉に長く居座りすぎる結果、抽出し過ぎになってしまいます。

よって、ペーパーフィルターの場合は、中挽き程度から粗挽きであれば抽出できます。挽き具合は、粗くすると苦味が弱まる一方、酸味が強くなるため、味を調整できる一つの変数です(細かくすると逆の事が起こります)。

今回は、前回の記事で書いたとおり、「あんぱんに合わせることを目指し、餡のほのかな塩味に合う弱い酸味」を目指すので、酸味を主張させ過ぎないように中挽きにします。
しかし、どんなに良い機械を使っても、「挽いた豆を均一な大きさにする」という作業の8〜9割しかやってくれません。その理由は、豆を砕く際に、必ず小さな粉(微粉といいます)が出るからです。

この微粉は極めて厄介です。より大きく粉砕した豆に合わせて抽出作業を行うと、成分が抽出されやすい微粉にとっては、全てが「やりすぎ」となり、これが余計な苦味や雑味のもとになります。
(微粉を除去し均一な大きさに近づいた豆(右)と、除去された微粉(左))

これを振り分けるには、茶漉し(急須の中に入っている網)が便利です。
自分が欲しい粒よりも少し小さい目の茶漉しに挽いた豆を入れて蓋をし、シェイクします。すると、それよりも小さい粒度の微粉が取り除かれます。
 (適当な容器に茶漉しをセットし、この中に挽いた豆を入れます)

(ふるって粉を分別する際に、飛び出さないよう蓋をしながら振ります) 

(シェイクすると微粉が茶漉しの外に落下し、容器の底に溜まります)

この微粉除去用シェイカーは僕のオリジナルで、内径66mの茶漉しと、ナイスカットGに付属の粉受缶(銀色のカップ)を、KINTO社のCARATティーポット(600ml)のフタで押さえています。フタの内側には、カップの縁よりも少し大きい口径の出っ張りがあり、粉の飛び散りを防いでくれるため、最適です。なお、粉受缶が無くても、66mの茶漉しは多くのコップにフィットするので、コップで代替が可能です。

ちなみに、微粉のみでコーヒーを淹れてみると、強い苦味が出るので是非試してみてください。

微粉を取り除くだけで、驚くほど整った味のコーヒーになります。

次回は、抽出器具について書きます。

コメント

人気の投稿