自宅で美味しいコーヒーを淹れるために 〜③ドリッパー選びと、抽出時間・湯量・湯温のコントロール〜
前回は、抽出する豆を準備するため、コーヒーミル選び、そして豆を挽きました。
今回は、いよいよ抽出の準備です。これまで、「あんぱんの主張しすぎない甘みに合うクリアな味のコーヒー」を求めて準備してきましたが、クリアな味を目指す際の一つの鍵は、脂質のカットです。
コーヒー豆には脂質が含まれており、これをカットせずに抽出すると、表面にうっすらと油による文様が浮かび上がります。脂質が増えると、香りや味の成分が舌に長時間留まり、濃厚で風味豊かな味になります(脂肪分が多いアイスは風味が豊かに感じるのと同じです)。
しかし、今回はクリアな味を求めるため、この脂質を極力カットしたいです。コーヒーのフィルターには、主に①紙製、②布製、③金属製の3種類がありますが、きめ細やかさの度合いでは③→②→①の順で細かく、最も細かい紙製では脂質がほぼフィルターでカットされます。ですので、今回は紙を用いるペーパードリップを選択します。
次に、紙のフィルターを置くためのドリッパーを選択します。フィルター及びドリッパーは、コーヒーの粉にお湯を透過させる作業のために使います。そのため、どのようなドリッパー及びフィルターを使うかは、主に、お湯がどのくらいの時間、コーヒー豆の層に留まるか(つまり抽出速度)で選びます。
抽出速度は、早いほど「溶け出しやすい成分」であるクロロゲン酸(酸味・渋み)が強調され、遅いと「溶けにくい成分である」ビニルカテコール(苦味)が強調されます。紅茶のティーバッグを長時間湯に浸すと苦味が強くなるのは同じ理由です。穴の数が多い・穴の直径が大きいドリッパーは、当然抽出速度が早いです。
今回は、初回の記事で書いた通り、「あんぱんの主張しすぎない甘みに合うクリアな味」を目指すので、クリアな味に仕上げたいことに加え、苦味も抑えたいです。そこで、穴が3つあり、ペーパードリッパーとしては比較的抽出速度が早い、カリタのウェーブドリッパーを使用します。
なお、よく見るドリッパーは、三角錐をひっくり返した構造をしていると思います。下にいくほど長時間湯が一部の豆に集中するため、過抽出が起こりやすく、味を安定させるのが難しいです。他方、カリタはほぼ円柱状の構造をしており、その底から三ツ穴で均一に湯が落ちるため、偏りが少なく味が安定しやすいです。
ドリッパーが決まったら、あとは挽いたコーヒー豆にお湯をかければ抽出ができますが、その際に味に影響し、且つ定量的に把握しやすいのが、抽出時間・湯量・湯温という三要素です。
老舗コーヒー店のマスターは、鍛錬で三要素を器具に頼らず把握・調整できますが、僕を含めた一般人は器具に頼るのが一番です。味の改善には、例えば「前回よりも湯温を1度上げたらどのような変化が起こるのか」といった形で1つずつ変数を調整し、観察する必要があるため、数字の把握が不可欠です。
「何ccのお湯を、何秒かけて注いだか」を把握するためには、タイマーと量りがあれば十分です。湯量の計測は、ドリッパーと、それをセットしたポットを量りに置いた状態で湯を注げば良いだけです。タイマーと量りを別々に用意してもいいですが、HARIOのV60 ドリップ スケール VST-2000Bには両方がセットされており、扱いやすいです。
さて、難しいのが湯温のコントロールです。
コーヒーは、紅茶とは異なり、沸騰した湯で抽出すると、大概の場合、味を悪くする成分が抽出されすぎてしまいます。一般的には80-95度くらいの温度帯の中に、過度な苦味や雑味を抑えられる適温が存在します。
僕は、以前はヤカンに電子温度計を差し込んでいましたが、火の強さで温度をコントロールするのは非常に面倒でした。
そこで購入したのが山善のYKG-C800という温度調整機能付電気ケトルです。温度調整機能付きケトルは意外に世の中に少なく、海外製だとbonaVITA(2万円超)、日本製だとHARIO V60ヴォーノ(1万円超)が人気ですが、何も高価です。そんな中、最近登場し、価格破壊を起こしたのが山善のYKG-C800(6千円台)で、60度以上で1度単位の温度調整が可能で、保温機能も付いており、ハイエンド機種と遜色ないです。また、ボタンレス構造でインテリアとしても美しいです。
これで抽出の準備が整いました。次回は、いよいよ抽出です。
今回は、いよいよ抽出の準備です。これまで、「あんぱんの主張しすぎない甘みに合うクリアな味のコーヒー」を求めて準備してきましたが、クリアな味を目指す際の一つの鍵は、脂質のカットです。
コーヒー豆には脂質が含まれており、これをカットせずに抽出すると、表面にうっすらと油による文様が浮かび上がります。脂質が増えると、香りや味の成分が舌に長時間留まり、濃厚で風味豊かな味になります(脂肪分が多いアイスは風味が豊かに感じるのと同じです)。
(コーヒーの表面に漂う脂質(コーヒーオイル))
しかし、今回はクリアな味を求めるため、この脂質を極力カットしたいです。コーヒーのフィルターには、主に①紙製、②布製、③金属製の3種類がありますが、きめ細やかさの度合いでは③→②→①の順で細かく、最も細かい紙製では脂質がほぼフィルターでカットされます。ですので、今回は紙を用いるペーパードリップを選択します。
(左から、紙、布(ネル)、金属(ステンレス)のフィルター)
次に、紙のフィルターを置くためのドリッパーを選択します。フィルター及びドリッパーは、コーヒーの粉にお湯を透過させる作業のために使います。そのため、どのようなドリッパー及びフィルターを使うかは、主に、お湯がどのくらいの時間、コーヒー豆の層に留まるか(つまり抽出速度)で選びます。
抽出速度は、早いほど「溶け出しやすい成分」であるクロロゲン酸(酸味・渋み)が強調され、遅いと「溶けにくい成分である」ビニルカテコール(苦味)が強調されます。紅茶のティーバッグを長時間湯に浸すと苦味が強くなるのは同じ理由です。穴の数が多い・穴の直径が大きいドリッパーは、当然抽出速度が早いです。
(Kalita ウェーブドリッパー155の底に空いた三つ穴)
今回は、初回の記事で書いた通り、「あんぱんの主張しすぎない甘みに合うクリアな味」を目指すので、クリアな味に仕上げたいことに加え、苦味も抑えたいです。そこで、穴が3つあり、ペーパードリッパーとしては比較的抽出速度が早い、カリタのウェーブドリッパーを使用します。
(円錐のドリッパー(左)と、円柱型に近いカリタウェーブフィルター(右))
なお、よく見るドリッパーは、三角錐をひっくり返した構造をしていると思います。下にいくほど長時間湯が一部の豆に集中するため、過抽出が起こりやすく、味を安定させるのが難しいです。他方、カリタはほぼ円柱状の構造をしており、その底から三ツ穴で均一に湯が落ちるため、偏りが少なく味が安定しやすいです。
ドリッパーが決まったら、あとは挽いたコーヒー豆にお湯をかければ抽出ができますが、その際に味に影響し、且つ定量的に把握しやすいのが、抽出時間・湯量・湯温という三要素です。
老舗コーヒー店のマスターは、鍛錬で三要素を器具に頼らず把握・調整できますが、僕を含めた一般人は器具に頼るのが一番です。味の改善には、例えば「前回よりも湯温を1度上げたらどのような変化が起こるのか」といった形で1つずつ変数を調整し、観察する必要があるため、数字の把握が不可欠です。
(各変数を定量的に把握することが不可欠です)
「何ccのお湯を、何秒かけて注いだか」を把握するためには、タイマーと量りがあれば十分です。湯量の計測は、ドリッパーと、それをセットしたポットを量りに置いた状態で湯を注げば良いだけです。タイマーと量りを別々に用意してもいいですが、HARIOのV60 ドリップ スケール VST-2000Bには両方がセットされており、扱いやすいです。
(HARIOのV60 ドリップ スケール VST-2000B)
さて、難しいのが湯温のコントロールです。
コーヒーは、紅茶とは異なり、沸騰した湯で抽出すると、大概の場合、味を悪くする成分が抽出されすぎてしまいます。一般的には80-95度くらいの温度帯の中に、過度な苦味や雑味を抑えられる適温が存在します。
僕は、以前はヤカンに電子温度計を差し込んでいましたが、火の強さで温度をコントロールするのは非常に面倒でした。
(タニタ スティック温度計 TT-533)
そこで購入したのが山善のYKG-C800という温度調整機能付電気ケトルです。温度調整機能付きケトルは意外に世の中に少なく、海外製だとbonaVITA(2万円超)、日本製だとHARIO V60ヴォーノ(1万円超)が人気ですが、何も高価です。そんな中、最近登場し、価格破壊を起こしたのが山善のYKG-C800(6千円台)で、60度以上で1度単位の温度調整が可能で、保温機能も付いており、ハイエンド機種と遜色ないです。また、ボタンレス構造でインテリアとしても美しいです。
(山善 YKG-C800)
これで抽出の準備が整いました。次回は、いよいよ抽出です。
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